このコーナーでは、令和2年4月から使用されている日本文教出版の「図画工作」の教科書について
できる限り分かりやすく紹介していこうと思います。
第1回は「図画工作をはじめよう」です。
「図画工作をはじめよう」は、各巻折り込みの次のページに設定されている、いわばオリエンテーションのページです。
ここには、図画工作の学習の中で何を学ぶか、どのように学ぶかがかかれています。
・図画工作の特徴(造形的な見方・考え方)について
・学習のめあて(資質・能力)について
・どのように学ぶかについて
・保護者の方へのメッセージ
順を追って説明します。
造形的な見方・考え方について その前に
学校で学ぶ教科等には「学習指導要領」というものがあり、小学校では令和2年4月から新しい「学習指導要領」での授業が全面実施されています。
学校教育では、子どもたちの「資質・能力」を育成するのが目的の一つなのですが新しい学習指導要領では、「資質・能力」は三つの柱に整理されました。「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」です。
だったらどの教科等でも同じことをするのか?というともちろんそういうことはありません。
それぞれ独自性や特徴があります。
それを「見方・考え方」といいます。
算数や数学であれば「数学的な見方・考え方」図画工作や美術であれば「造形的な見方・考え方」
と呼ばれています。
つまり「造形的な見方・考え方」でもって3つの「資質・能力」を育成するのが「図画工作」「美術」である、ということです。
造形的な見方・考え方とは
「造形的な見方・考え方」は「学習指導要領解説」というもので以下のように示されています。
「感性や想像力を働かせ、対象や事象を、形や色などの造形的な視点で捉え、自分のイメージをもちながら意味や価値をつくりだすこと」
少し分かりにくいかもしれませんので、簡単な例を。
信楽焼の器があったとします。
「信楽焼は地域の産業としてどう位置付いているんだろう」というのは社会科的な見方考え方
「体積はいくらだろう」は数学的な見方考え方
「土は何で焼くと固くなるんだろう」は理科的な見方・考え方
で、その器を見ている、ということになります。
そして
・この形きれいだなぁ
・手にフィットして持っていて気持ちいいなぁ
・模様が雪みたいだな
・どうやってつくったんだろう。つくってみたいなぁ。
というのが造形的な見方・考え方です
「きれいだな」「気持ちいいなぁ」というのは感性を働かせながら価値をつくりだしています。
(※その子にとっての「きれい、」や「気持ちいい」は、誰かに言われてそう思った、ということではないので、その子にとって価値をつくりだしている、ということになります。ご理解いただけます?)
「雪みたいだな」というのは自分のイメージをもって、意味をつくりだしていることになるでしょう。
そしてこの時、「形」「手にフィットする感じ」「模様」という「形や色などの造形的な視点で捉え」ています。
(※形や色など、の「など」には触り心地といった触覚的なものも含まれます)。
こんな視点でものごとや世界、自然を見ていきながら「資質・能力」を育成するのが、図画工作の学習ということです。
「図画工作をはじめよう」=造形的な見方・考え方を働かせましょうね
教科書の「図画工作をはじめよう」のタイトルの下には、例えば5・6下では左のように書かれています。
これが「造形的な見方・考え方」を働かせましょうね、ということをもんのすごく短くまとめたものです。
あと、この左のページに(折り込みになっているのでp.4が付いているのです)以下のような文章が書かれています。
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わたしたちは、みることや表すことを通して、
さまざまな伝統や文化、それらをうみだした
人々への思いにふれることができる。
未来について、想像することができる。
自分の体と心をいっぱい働かせながら
見たり、表したりしよう。
そして新しい自分や、新しい世界を、
つくりだしていこう。
ーーーーーーーー
こんな感じで、教科書が始まります。
ちょっと長くなりすぎましたので今日はこの辺で。
(これはオリエンテーションの説明だけで長くなりそうですな)。
第二回はこちらから