子どもって、好きなことで遊んでいる時ののめり込み感、ハンパないですよね。
たとえば好きなゲームとか、スポーツとか。
この態度が、そのまま学びに直結できたら、と、いつも考えています。
今回は、教科としての図工からほんのちょっとだけ離れて、子どもたちがプログラミングキットによってそんな強い意欲を引き出されながら、ものづくりをし、地域と交流した事例をひとつご紹介したいと思います。
高知県にある四万十町では現在、図書館や美術館などの機能を有す「四万十町文化的施設」の整備事業が進んでいます。[1]
私はその施設で行われるSTEAM教育事業の検討・実証に関わらせていただいています。
先日もその一環で、企画課 文化的施設整備推進室主催のこどもワークショップが開催されました。
家族の夕食のために……KOOVで高級天然うなぎ捕獲大作戦
対象:町内在住の小3〜小6
時間:2時間
高知県四万十町は言わずと知れた清流・四万十川が流れ、天然のうなぎがとってもおいしい地域。
今回は、「今夜は家族でうなぎを食べたい……!」ということで、ターゲットを自分が食べたいうなぎに設定し、捕獲できるマシーンを、弊社のプログラミング学習キットKOOVと、身の回りの素材を組み合わせて作りました。
会場の外すぐに、四万十川。(大人たちは、ソーシャルディスタンス装置としてイトデンワを試作中 笑。)
始まる前。今回は、四万十町の「うなぎとり名人」や「川の名人」が、うなぎをとる「しかけ」をもって駆けつけてくれました。
図書館にある関連資料も用意。
名人によるしかけの説明から始まります。
「おおよそはこういう形だけれど、一番大事な「工夫」をしている部分は名人ごとに全然違っていて、誰にも教えないものです。なので、皆さんにも教えません。ここが、たくさん捕まえられるかどうかのポイント。つまり、決まった型や正解はないのがうなぎとりなので、今日はとても楽しみにしています」
というありがたいコメントが。
「うなぎの大きさを考えると、もっと大きくしたほうがいいんじゃない?」
「LEDの光で誘き寄せるのはどう?うなぎって光に反応するのかな?名人にきいてみよう」
「KOOVなんだからそもそも、待つだけじゃなくて、しかけのほうからうなぎを追いかけることができるんじゃない?」
「川の底に設置できるかな?名人に聞いてみよう」
たくさんの疑問が生まれます。
発表。
名人に見せてもらった「しかけ」をプログラミングで改造したものや、光やモーターを使ってうなぎを一網打尽にしてしまおうとするものなど、多様なアイディアが見られました。
「このアイディア、買い取りたいなあ、素晴らしいなあ」
「小さい頃のうなぎは光に反応するから、このしかけはこどものうなぎがたくさんとれそうだね」
ひとつひとつの作品に名人からコメントも。
発売元に勤めている私が自分でいうのもなんですが、弊社のKOOVは、きちんと主体的に考えられる「テーマ」が設定されることさえできれば、すべからく子どもたちは何時間でも没頭します(実は大人でも)。
今回も子どもたちにとって、2時間の活動時間は「足りない!」と思えるほど短く感じていたようです。
この状況は、冒頭に述べた「ゲームに没頭している子ども」にとても似ているように思います。
気づいたら話しかけてた
実は今回は、少し「シャイ」な参加者が多かった印象でした。
ワークショップが始まった最初に、私や名人ら大人たちにまったく話せない、目を合わせられないのはもちろんのこと、時間が経ってもいつもよりコミュニケーションが少なかったように思います。
しかし、黙々と没頭して製作を進め、自分たちの計画が成功に導かれるためにはいよいよ名人に質問するしかない、といったとき、自然と話しかけている場面が散見されました。
それは、ウッと気合いを入れたり「恥ずかしがってられない、頑張るんだ」と決意があったりといった重い衝動ではなく、どこか「気がついたら話しかけてしまっていた状態」というような状況だったと思います。
話しかけられた名人たちも、うなぎのことはわかってもプログラミングのことはわからないので、子どもに聞き返し、自然と会話が成立しているように思いました。
ワークショップ終了まで、ついぞシャイな雰囲気が消えることはありませんでしたが、帰り際に
「いつもどこでうなぎとりしているの」
「どこらへんにすんでるの」
という、別れの名残惜しさを感じる質問をしている場面もありました。
このことは、ワークショップのスタートの雰囲気から考えるとなかなか特筆すべきことで、そうなった理由を振り返って考えると、「没頭」にあったように思います。
たしかに、人は、つながりたくてつながるし、知りたいと思って知る、衝動があって行動だよなあ、と感じました。
「自分から湧き上がる衝動」と「対等な関係」によって、本来は健全で自然な対話が生まれるだろうし、私自身、今回のワークショップは、「対話をうむ環境」と「プログラミング教育のもつ力」について考えさせられた機会でした。
「子どもたちにとってのプログラミング」には、まだまだたくさんの可能性があり、それは未だ見つけられていないものもとってもたくさんあるのでしょうね。
複数の美術館や科学館で、
コメントをお書きください