3年生の「わたしの6月の絵」(日本文教出版 図画工作3・4上 p.18-19)の題材です。学校などで見つけた6月のようすから、感じたことを絵に表す活動です。
ちいさなスケッチブックを持って
子どもたちに、ちいさなスケッチブックと色鉛筆を持って、「五本木の森」や中庭で、6月を感じるものを探すことを提案しました。自分でつくった手のひらサイズの手軽さがとても気に入ったようです。
朝方まで降っていた雨がやみました。子どもたちは「ひんやりするね。」「6月の花は、アジサイ!」「だんご虫がいる。」「水たまりに木がうつっているよ。」「かさ立てがにぎやかです。」など自分の見つけた6月のようすを簡単にかいていきます。
図工室に戻ってから、子どもたちはミニスケッチブックを見せ合い、自分たちが見つけた6月のようすを感じていました。Rさんのミニスケッチブックには、「アジサイ」、「ユリ」、「6月のミニトマトは緑」、「5年生が植えたバケツ稲」、「カサ」、「くもり空と雨」、「しずく」、「五本木の森と東急線」などが一気にかかれていました。
▼Rさんのちいさなスケッチブック
6月を感じる色
次の週は、見つけた6月のようすに合う色をパレットにつくりながら、思いうかんだことを絵に表していきます。
Rさんは、細長い画用紙を選び、横にしました。見つけた6月を感じる色(青、水色、紫、ピンク、緑など)をパレットにつくり始めましたが、しばらくするとRさんは色づくりをやめて、画面の中央に曇り空をかきました。そこに、少しずつ水で薄めて調整した水色で雨をかいていきます。私は四角い形の空が楽しいなあ、と感じました。その後、Rさんは、雨傘やアジサイ、大きな葉など、次々と筆を進めていきます。ミニスケッチの手がかりもあり、思いうかべたことがどんどんかかれていったのでしょう。
私は、右側に一枚だけ大きくかかれた葉にRさんがどのような感じをもっているのか気になり、尋ねてみました。Rさんは、「葉っぱの上に、雨のつぶがいっぱいついてきれいだった。」と教えてくれました。私は、「ああそうだったね。きれいだったね。」とRさんの見つけたことを一緒に喜びました。画面の全体に紫やピンクの点々がいっぱいに散りばめられると、Rさんは「完成!」を決めました。
暗雲や雷、激しい雨などを表した子どもたちが多くいましたが、Rさんの6月の絵は、しっとりとした優しい色づかいでかかれています。私は、Rさんの表した色に心地よさを感じて惹かれるのはなぜだろうと思い、何度も完成した作品に見入りました。
「6月のいろいろな色」
Rさんは、作品に「6月のいろいろな色」というタイトルをつけ、こんなふうに話してくれました。
ぼくがまえに使っていた かさの色。
くもり空の色
雨のつぶの色
アジサイの色
草の色
土の色
6月だなあとかんじる色を たくさんみつけられた。
いろいろな色があって たのしい6月。
材料・用具
児童:水彩絵の具セット、色鉛筆
教師:ミニスケッチブック用画用紙 20㎝×15㎝を一人3枚ほど(二つ折にしてホチキスで止める)
画用紙(M画紙)を30×55㎝と45×45㎝に切っておき選べるようにした。
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hana (水曜日, 06 7月 2022 17:41)
まず、2年生の水彩絵の具の使い方が上手になったと感じました。ミニスケッチに色鉛筆で描いたときよりずっと詩的なデザインと色に変化しましたね。スケッチを手掛かりとしながらも、Rさんらしいやさしさで調合された色合いになったように感じました。憂鬱な梅雨の時期にこの絵を分かち合っていただき、私の心も素敵な色合いで満たされました。
図工のみかた編集部 (水曜日, 06 7月 2022 18:08)
hana様
コメントありがとうございます。
>憂鬱な梅雨の時期にこの絵を分かち合っていただき、私の心も素敵な色合いで満たされました。
本当そうですよね。ムシムシしてしんどいですが、この絵で華やかな気分になりました。
>スケッチを手掛かりとしながらも、
スケッチがあるから、こうしてイメージも広がっていったんだろうなと思います。きっと「まえに使っていたかさ」はスケッチはしていないと思うのですが、スケッチにかさをかいていることがきっかえで思い出したんでしょうね。
このイメージの飛躍が、図工のおもしろいところの一つかな、と思いました。
hana様が見つけた6月(もう7月ですが)の形や色もまた教えてください!
引き続きよろしくお願いいたします。