この作品は、2年生の題材「木のいいかたち」の授業の中で表したものです。角材をどんどん積んで、自分にとっていいと感じる形を見つけ、立体に表す活動です。
のこぎりで切る
角材を、積み木遊びをするようにどんどん積んで、自分のいい形を探していくことを提案しました。
少し早いですが、2年生でのこぎりを扱っています[1]。 長めの角材を、友だちに押さえてもらい、順番に一つずつ切るのです。初めはなかなかスムーズに引けませんが、間もなく子どもたちは、ギコギコいい音を響かせて切れるようになります。そうすると、少し角度をつけて斜めの形や自分の好きな長さに調節しながら切っていきます。2年生の子どもたちが、どんどん角材を積んでいけるように、私も十分な量を切って準備しておきます。でも、子どもにとって、自分で切った角材は格別なのです。
Oさんは、角材を積んでは崩し、しばらくいろいろ試すと、土台の板に、安定感のある積み方で接着し始めました。隙間をつくったり、ずらしたりしてできる形を楽しんでいるようです。Oさんは、土台を回しながら、形を確かめています。
「もっといいかたち、見つけた!」
Oさんは次の週、さらに角材を積み上げながら、共用の絵の具で色をぬり始めました。「好きな色の緑、黄色、赤で、自然のイメージ」だと話してくれました。高さはそれほどありませんが、Oさんは満足したのか、手を止めました。しばらくの間、つくりつつある自分の作品を、土台を回しながら見ています。そして席を立つと、友だちの作品を見て回った後、材料コーナーに行きました。小さな木切れや棒を選び、さらに積み上げ始めます。細い棒はすぐに倒れてくるので、小さなキューブ状の木を積んで支えにしました。さらに細い棒を、上にではなく、横から接着して高くしようとしています。つけてもつけても落ちてきます。私はしばらく見守りました。Oさんは指先で棒をずっと押さえ続けています。そして手を放して接着できた時、Oさんと私は目が合いました。とてもほこらしげな目から、「できた!もっといい、自分のかたち!」と聴こえてくるようでした。
「しぜんを見はるもののすみか」
Oさんが作品つけたタイトルは「しぜんを見はるもののすみか」です。作品についてOさんは以下のように話してくれました。
一番はじめに積んだ時にできたすき間が面白くて、ここを「入口」にしようと思いました。土台をまわして後ろを見ると、ライオンがいるように見えました。反対側に、りゅうをつくりました。どんどん積んでいくと、「入口」は何かの「すみか」だと思いました。古代の感じもしました。
はじめ、自分の作品は高くないけれど満足でした。でもTさんがつくっている作品を見たら、すごく高くていいなあと思って、積んでいくと、もっといい形になりました。支えている小さな木(キューブ)が少しずつずれて、面白い形です。
ぼくは、木を見るのが、好きです。でも自然の木を切り倒す人がいます。
だから自然を見張るのがいるすみかにしました。小さな木(キューブ)が、見張っています。
材料・用具
教師:角材(小割、半貫、カワラザン、造形遊び用の小さな木切れ等)、ラワンベニヤ(土台)、共用の絵の具、のこぎり、木工用接着剤
《しぜんを見はるもののすみか》 (高さ 約70㎝ 土台15×15cm) 2年生 O.K.さん
[1]学習指導要領図画工作編の内容の取扱いと指導上の配慮事項では「材料や用具については(中略)必要に応じて、当該学年より前の学年において初歩的な形で取り上げたり(後略)」と示されています。[1]学習指導要領図画工作編の内容の取扱いと指導上の配慮事項では「材料や用具については(中略)必要に応じて、当該学年より前の学年において初歩的な形で取り上げたり(後略)」と示されています。
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