この作品は、5年生の題材「森のいのちのおくりもの」の授業の中で表したものです。自然の材料を使って立体に表す活動です。
林業体験から
5年生は八ヶ岳の自然宿泊体験教室で、林業体験をします。子どもたちは、間伐の意味や林業に携わる人の思いや願いを聞き、実際に山の急斜面で間伐を体験させてもらいます。子どもたちは山から吹き降りてくる風、木漏れ日、梢がこすれ合う音、土のにおい、樹木が倒れる音、瑞々しい樹木をのこぎりで切っている時の感触や香り、寄って来る虫の気配などを全身で感じます。年月をかけて成長した年輪に驚きながら、貴重な体験をしてきます。体験教室を終えたあと、その間伐材を図工の材料として使う授業を毎年行っています。
子どもたちに、間伐材と自分で集めた自然の材料を組み合わせて、立体に表すことを提案しました。
今年の間伐材は、厚みが薄かったので、子どもたちが空間を感じながら、形を立ち上げていけるように、小枝や細めの檜のラミン棒を用意しました。
自然の材料がもたらすもの
子どもたちは、自然の材料を手にして小枝の「冬芽」の形を見つけたり、においをかいだりしてしばらく材料を感じています。
はじめにKさんは、持ってきた松ぼっくりやどんぐり、乾燥したハーブなどを間伐材の上にのせたり、組み合わせたりしてどんなことができるかいろいろ試みています。そして、間伐材に開けた穴(※)に、小枝やハーブを差し込みました。
次に、Kさんは、少量の麻の繊維を両手の平でころころと転がし続けると、まん丸の球体をつくりました。さらにその中にドングリや細い木の棒を入れ、透けて見える感じを楽しんでいるようです。また、麻の繊維を束ねて輪っかにしたものを刺繍糸で結ぶなど、材料の可能性を次々と探っていきました。
そして、Kさんは、メッシュの麻の布を手にして、ねじったり曲げたりして、きれいな曲面がつくりだせることを見付けました。その後、青、緑、生成りの麻の布を使い、自分がいいと感じる形をつくり、間伐材の周りを囲むようにして組み合わせて付けました。
私は、自然の材料に触れているKさんの姿を見ていて、自然の色合いや肌触りなどの心地よさ、形のよさや美しさ、不思議さに惹きつけられてやまないものがあるように感じました。
「森のあたたかな ぬくもり」
Kさんは「森のあたたかな ぬくもり」というタイトルを付けました。以下は、Kさんが作品について話してくれたことです。
自然の材料の形をじっと見ていると、面白いです。
松ぼっくりは、なぜこんな形になっているのかなと思いました。
初めは、材料を積んだり、組み合わせを変えたりして試すようにしていたけれど、
自然の材料の、ひとつひとつの特徴を生かしたいと思いました。
最後に麻の布で全体をくるむようにしたら、森が守られている感じがしました。
八ヶ岳の森林の中にいる時、私は自然につつまれていると感じました。
材料・用具
児童:八ヶ岳での間伐材、身近な自然の中で集めた木の実や小枝など、木工用接着剤、はさみ
教師:校庭の樹木選定の際に集めた枝(扱いやすいサイズにカットしておく)、
檜のラミン棒(数種類:5mm円柱、5mm×2mm、10mm円柱)、麻ひも、刺繍糸、ファイバー・リネン(麻の繊維)、メッシュ・リネン(メッシュの麻の布)、電動ドリル、電動糸のこぎり等
(※)電動ドリルは教師が扱った。
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おっかー (木曜日, 08 6月 2023 15:03)
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