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第四十四回 夕日でてらされているふじ山

この作品は2年生が、題材「お日さまとわたし」で絵に表したものです。感じたこと、想像したことなどをもとに、自分の表したいことを見付けて絵に表す活動です。


 

 

わたしのすきなお日さま

 

早いもので、昨年4月に出会った2年生も、この春には3年生になります。子どもたちには、「自分のすき、いい、こうしたい」を大切にして図工の時間を過ごしてきました。

いろいろな活動を通して、一人一人のすきなこと、色づかい、やりたいこと、こだわり方などに私はたくさん触れることができました。

 この題材では、「自分がすきなお日さまはどんなお日さまかな。どんなとき、どんなところでお日さまはいいな、とかんじるかな。じぶんの心にあるお日さまはどんなかな。すきな色やかたちで絵にかいてみよう。」と絵の具で表すことを提案しました。

 

 

大きな紙に

  

 子どもたちは60㎝四方の大きな白い画用紙を目の前にして、手の平で画用紙をなでたり、まだ何も付いていない刷毛をくるくる回したりして身体を動かしています。

 Yさんは、すぐに絵の具を取りに行き、薄茶色で画面の半分を三角にぬりました。少し乾いてから、その上に木をどんどんかいています。葉の色は緑だけではなく、赤や黄、青など色とりどりです。さらに花か実のようなものを、筆先でちょんちょんとおきました。これも様々な色です。この木々をかいている時の、それは心地よさそうに身体を動かしているYさんの姿に、私は引き付けられていました。そして、木々が斜めにかかれているのはどうしてかな、と思っていると、Yさんは画面の上に大きな山をかきました。山の傾斜を表していたのです。Yさんは、その山の右上に画面からはみだすほどの大きなお日さまをかいていきます。オレンジや黄色、白でそのまわりを囲っていきます。

 山と接する部分に混ざった赤を調整するために、もう一度山の形を上からなぞっています。その後、てっぺんに雪を積もらせました。ここまでを一気にかきあげたYさんは筆をおき、自分の絵を見ています。

 しばらくして、Yさんは絵の具が乾いた雪の上に、クレヨンを使って2匹のネコをかき、絵を完成させました。

 

 

 

「ふじさんとお日さま」

 

 ふじさんとお日さまが会話した。

 「ねえお日さま、きみは、いつもてらしてるけどあつくないのかい?」

 「そりゃあついさ。きみこそ、てっぺんはいつも雪がつもっていて、さむくないのかい?」

 「そりゃさむいさ。」

 「じゃあ、ぼくがあたためてあげるよ。」

 「じゃあ、ぼくがすずしくしてあげるよ。」

 「はぁー」

 「あぁ、あったかいな。」

 「ふぅー」

 「あぁ、すずしいな。」


材料・用具:共用の絵の具、クレヨン、厚手の画用紙(60×60㎝に切っておく)、筆、刷毛、タオル等

《夕日でてらされているふじ山》 60×60㎝ 2年生 Yさん
《夕日でてらされているふじ山》 60×60㎝ 2年生 Yさん

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コメント: 2
  • #1

    sayaka.y (木曜日, 14 3月 2024 13:58)

    何を描くか子供が決める題材で、よく子供たちが描くものの一つに太陽があります。子供(大人も?)にとって身近で、描けそうなものである太陽ですが、「お日さま」という言葉にし、「わたし」とつなぐことで、皆に等しく光を照らす、象徴的な太陽が「私だけのお日さま」になるのだなと思いました。

  • #2

    図工のみかた編集部 (金曜日, 22 3月 2024 12:37)

    sayaka.y さん

    こんにちは。
    コメントありがとうございます。

    >「私だけのお日さま」になる
    ほんとにそうですね。つながって、表して、表したことで結びつきが強くなって、そんな風にだんだんとその子だけの物語が紡がれていくのだと思います。

    その物語が紡がれていく過程に寄り添えるのがいいですね~。

    引き続きよろしくお願いいたします。