· 

第四十七回 図工室から見た風景

鉛筆を使い、感じたことや見たこと、想像したことなどを基に絵に表す活動です。前年度の教科書にある「鉛筆で表そう」(日本文教出版 令和2年度版 図画工作5・6上 p.58)を参考にしています。


 

 

「くじらナイフ」

 

小刀で鉛筆を削ることから活動を始めます。高知県土佐の鋳物職人、山下哲さんの小刀を使います(日本文教出版 令和2年度版 図画工作5・6上 p.36「図画工作のつながりひろがる《つくる》」参照)。

 

山下さんは、小刀を安全に使ってほしいという思いをこめて、先を丸く、持ちやすくした形の小刀をつくっています。他にも数種類ある山下さんの「くじらナイフ」を鑑賞しました。マッコウクジラ、ミンククジラ、ナガスクジラ等様々なものがあります。子どもたちはナイフを手に取ってみると、「以外に重い!」「やさしい顔をしている。」「きれいなカーブだな」と話しながらよさや美しさを感じ取っていました。

 

刃物の安全指導はしっかりと行います。「刃物3つの約束」(私の尊敬する図工の内野務先生の授業で言われていた「人を傷つけない、物を傷つけない、自分を傷つけない」という3つの約束。)を低学年から繰り返し行っています。

 

 

子どもたちは鉛筆の先に視線を集中し、無心で削り始めます。初めは思うように手が動かず、途中で芯がポキンと折れてしまうこともありましたが、しばらく試みていくと、それぞれに微笑ましい表情をした鉛筆を削り上げました。

クジラナイフ 子どもたちは一番上の「マッコウクジラ」を使用
クジラナイフ 子どもたちは一番上の「マッコウクジラ」を使用

 

 

鉛筆でかくのは楽しい 

  

 子どもたちは、自分で削った鉛筆で絵をかくということが、とても新鮮なようです。小さな紙に、するすると線をかいたり、ぬり重ねたりすることを楽しみます。それから、図工室にあるものや、想像したことなどを思い思いにかき始めました。

 

 Kさんは図工室の窓の方を見ながら、細長い紙にかいています。図工室は2階の南西の角にあり、教室の二面が大きく窓になっています。Kさんは、窓の方を何度も見ながら、自分で削った鉛筆で、横いっぱいに窓枠をかきました。

 その後、窓辺に飾ってあるガラスの花瓶や様々な用具や流し場の蛇口などを尖った芯の先でかいていきます。窓の外には柔らかな新緑の「五本木の森」と空が大きくかかれました。芯だけでできた9Bの鉛筆も使って、形をはっきりさせたり、強調させたりしているようです。Kさんは、思いに合わせて鉛筆を使い分けながら、一気にかきあげました。

 

 

「図工室から見た風景」

 

 Kさんは、「図工室から見た風景」というタイトルをつけ、活動を振り返って以下のように言葉を添えてくれました。

 

山下さんの「くじらナイフ」は心地がよかった。

最初は鉛筆のしんもけずれてしまい、うまくいかなかった。

やっていくうちに、鉛筆を持つ手をうまく動かせるようになって、きれいにけずれた。

「くじらナイフ」でけずるのは気持ちがいい。ずっとやっていたい。

鉛筆だけで絵をかくのも楽しい。

黒だけでも色をたくさん感じることができる。

うすいところ、濃いところ、画用紙の白いところ、力の加減でいろいろな色をだせる。

 


材料・用具:

児童:鉛筆(HB、2B、4B等)

教師:グラファイト(9B)、画用紙(小さめのサイズを数種類切っておく。)、山下哲さんの「くじらナイフ」(マッコウクジラを使用)

 

《図工室からみた風景》 10×21㎝ 5年生 Kさん
《図工室からみた風景》 10×21㎝ 5年生 Kさん