「初めての水彩絵の具」
2年生の子どもたちが、新しい水彩絵の具のバッグを持って図工室にやってきました。初めての用具を使えることが嬉しくて、子どもたちの体が弾んでいるように感じられます。
3年生から使用する水彩絵の具を、少し早めて2年生のこの時期に扱うことにしています。子どもたちが、「絵の具って楽しいな」「色をつくるのは気持ちがいいな」「自分の用具を大切にしよう」と思い続けていける、出会いの日にしたいと考えます。
子どもたちが、いろいろ試みることを楽しめるように、小さな画用紙を用意しました。
「えのぐと、水と、なかよし」
まず、子どもたちを側に集め、実際に用具を扱って見せながら、水彩絵の具の魅力や可能性を感じてもらいます。そして、絵の具と水がなかよくして、色をつくることを楽しみながらかきたいことを見付けるよう提案しました。「はやくー!先生もうかきたい!」という声が聞こえます。
Aさんは、まず青い絵の具を筆でとり、パレットで水と混ぜました。小さな画用紙に、すうっと伸ばしていきます。少し水を足しながら気持ちのままに青をぬっていくと、「海にしょう。」とつぶやきました。青い絵の具がついた筆をまっすぐ立てるようにして持ち、筆の先で線をかくことを楽しんでいます。
そして、筆洗バケツで青色の筆を洗うと、次に赤と白を混ぜて、ピンクをつくっています。色を混ぜている時のAさんの顔はパレットに吸い込まれそうなくらい、ぐっと近づいています。できたピンクを筆先でちょんちょんとおくと、たっぷり茶色を含ませた筆で、ぐいっとたてに線をかきました。次は緑、そこへ少し黄色を足して黄緑でかき足すと、「できた!」と作品を完成させました。
その時、近くの友だちが筆洗バケツの水を床にこぼしてしまいました。Aさんはすぐに自分の雑巾で、こぼれた水を黙って拭いてあげていました。そのAさんに気付いた子どもたちが、次々と雑巾を持って来て一緒に拭いているのです。
外は、新しい春を告げるかのような、春雷と雪の舞う空、図工室の中では、子どもたちと水彩絵の具のとてもいい時間が流れました。
「海とサクラ」
Aさんは作品に「海とサクラ」というタイトルを付けました。以下はAさんが作品について話してくれたことです。
えのぐはたのしかった。
えのぐは、水がだいじ。
水で、スーッともいくし、ベタッともいく。
だいすきな青と水で海になった。
ほそいせんは海のうごきになった。
とんとんとかいたら、さくらの花びらになった。
はっぱもかこう。
海とサクラの絵ができた。
材料・用具
教師:画用紙(A4の半分のサイズ)等
児童:水彩絵の具
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