この作品は、3年生の子どもが、「絵の具+水+ふで=いいかんじ!」(日本文教出版 図画工作3・4上 p.10-11)で表した作品です。絵の具と水と筆でいろいろためしながら生まれてくる形や色に、自分のいい感じを見つけて絵に表す活動です。
「思いのままに いろいろためす」
3年生の子どもたちは、2年生の終わりに個人持ちの水彩絵の具と慣れ親しみました。この題材では画用紙を少し大きいサイズにして、数種類準備し、選択肢をもたせることで、新たなこころみができるようにしました。
「思いのままに、とはどういうことだろう。」と子どもたちに尋ねると、「自由に」「気持ちのままに」「下がきしないで」「ふでの動きにまかせて」等の言葉がかえってきました。
子どもたちには、絵の具と用具でためすことを楽しみながら、自分の表したいことを見つけていくことを提案しました。
「いいかんじ」
さっそく子どもたちは好きな色を選んだり、混ぜたりしていろいろためし始めます。筆をリズミカルに動かして曲線を繰り返し表す子、筆にたっぷりと水を含ませた色に別の色を重ねる子、絵の具のかすれる感じを楽しむ子など、様々な工夫が生まれています。
Nさんは色を混ぜることを楽しんでいました。つくった色を、画用紙の周囲からぬったりかいたりしています。花のような形をかきおえ、次は赤と青と白を混ぜてむらさきをつくりました。筆の動きによる形が生まれます。色を変え、水の分量を変え、画用紙の上と下の縁に次々と形をつくっていきました。私は、Nさんが画面の真ん中にできた白い余白をどうするのか楽しみでした。Nさんは太い筆を使い、あい色でぬり始めました。時々水を加減したり、かすれさせたりしています。力強く、一気にぬり終えたあい色の部分にどのような感じがするのかNさんに尋ねると、「くらやみ」と教えてくれました。
「色の光りかた」
Nさんのタイトルは、「色の光りかた」です。私はこのタイトルにも ひきつけられ、Nさんがどのような考えをもったのか知りたくてなりませんでした。
以下は、Nさんが話してくれたことです。
くらやみにも、くらいところにも光がある。
絵の具は水をいれると光る。
色の光りかたは、水やふでのうごかしかた、力のはいりかたでもかわる。
絵の具でかきながら、小さいころに見た、ミニアニメのことをおもいだした。
クレヨンの黒だけが長くて、ほかの色はよくつかわれてみんなみじかい。
アニメでは、ぜんぶの色のクレヨンをぬった上から黒でぬりつぶし、
とがったものでひっかいていた。そこに色のひかりがでてきてびっくりした。
絵の具と水で、くらやみも光るんだとかんじた。
材料・用具
教師:画用紙等
児童:水彩絵の具
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