もうすぐ本番
6月27日。4月から準備してきた「ミライの教室」も無事に当日を迎えることができた。午前中から集まって自分たちの「教室」を設える部員たち。机を並べてそれぞれの配置を確認しつつ、入り口にはダンボール製の看板を取り付ける。教室の真ん中にはお母さんチームの力作シンボルツリーも据えられた 。[1]
「そうだ、黒板にも何かをかいておこう」と意気込むメンバー。6年生の部員はダリの「溶けた時計」にミライを感じるらしい(よく知っているなぁと感心)。ぐにゃぐにゃの時計がいくつもかかれたイメージは某アニメのタイムマシーンを彷彿とさせる。今回のテーマにもぴったりだ。
一通り準備が終わっても「何人くらい来てくれるかなぁ」と不安になる。それならということで、即席でポスターをつくって貼りに行くことにした。友達がたくさん来そうな場所を考えて、近所のお菓子屋さんとスーパーに交渉に出向き、それぞれ目立つ場所に掲示していただいた。
いよいよ開校
努力の甲斐あってか、始業時間の午後2時の少し前にはさっそく入学希望者(以下、本稿では分かりやすく「生徒」と呼ぶことにする)が登校。まずは受付を済ませてスタンプラリーの台紙を受け取る。その後は、同時並行で展開されるいくつもの「授業」に自由に参加するスタイルだ。
受付のすぐ近くには4年生の部員による「時計がたのケーキ」。机には色とりどりの素材がきれいに並べられていた。紙コップをケーキに見立てて色紙やリボンでデコレーションしながら、文字盤を貼り付けて完成。参加した「生徒」が感想を書くための時計もしっかりと用意されていた。
6年生のベテラン部員と4年生の新入部員による「給食ロボット」のブースでは、給食の配膳台の上におにぎり、お団子、カレー、卵焼きのフルコース。それらを調理しているのは小さな人型ロボットのようだ。訪れた生徒は紙コップと小さなパーツを組み合わせてロボットの友だちを増やしていく。
その隣にあるのは1年生部員による「そうじどうぶつえん」。これまでもお兄ちゃんと一緒に活動に参加していたが、今回は満を持しての「先生」デビュー。同じく初参加の2年生が担当する「ネコになりたいでんわ」とあわせて動物型の機械が勢ぞろいした。
5年生の部員による「実力はんていロボット」では、「ライトコース」(1・2年生)、「グレーコース」(3・4年)、「ブラックコース」(5・6年)から選んでなぞときクイズに挑戦。筆者は何の気なしに「ブラック」を解き始めるわけだが、これがまた思った以上に難しい。ヒントをもらいながら、ようやく3問中2問正解することができた。果たして実力はいかに。妙に緊張する時間が流れる。
そろそろ下校
こうしてそれぞれの考える「ミライの教室」が束の間に実体化していった。その一方で、テーマに縛られずに自由に振る舞うのも《放課後の学校クラブ》の魅力の一つ。「パチンコ」と書かれた矢印の先にある扉を開けば輪ゴムで紙コップを飛ばして的を倒す懐かしの遊び。ダンボールで製作した剣をカスタマイズしていく授業(名前はまだない)は子どもも大人もついつい夢中になる。
結果的には20名を超える生徒で賑わい、気付けば時計はもうすぐ4時を指す頃合い。このくらいの時間になると、《放課後の学校クラブ》の放課後モードが全開になる。それぞれの「授業」をお休みしつつ、お互いの「授業」に混ざり合う。子どもと大人、先生と生徒など、もとより攪拌された関係性がますます流動的になっていく。誰の時間というわけでもないこの時間が実は一番「放課後」らしい。
心地よい疲れとともに久しぶりの発表会は幕を閉じた。「今日来てくれたみんなが入部してくれるといいね」。次の学校づくりにも期待が膨らむ。
[1] このシンボルツリーは2020年3月に催予定だった「お花見」をテーマにした学校に向けて製作されたものであり、一年越しのお披露目となった
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