次はどうしよう
11月に開催された「月と夢の世界」も記憶に新しいなか、早くも次回作に向けて動き出す子どもたち。この日も初参加の大学生2名が訪れていたため、まずはそれぞれの担当した「授業」を紹介することから始まった。
続いて前回の反省点を挙げていく。まちでチラシを配っていた時に「もっと早く持ってきてほしかったなぁ」と言われたようで、今度は早めに配りに行くことを目標としたようだ。あるいは、本番にそれぞれのブースが忙しく、お互いの「授業」をまわることができなかったのが残念という声もあった。
このようなふりかえりを経て、「じゃあ次はどうしようか」と話し合う。《放課後の学校クラブ》には「卒業」というシステムは設けていないが、6年生の部員がいるとそわそわし始める頃合いだ。今年も6年生の部員が1名在籍している。2年生の頃から参加している「学校づくり」のベテランだ。
膨らむイメージ
早速、6年生メンバーが他の部員に「大きな絵をかいてみたい」と呼び掛けて活動が始まった。床に模造紙を広げてはみたものの、とっかかりが難しい。発案者の頭の中にあるイメージをもとに、大学生に「大きなトリイ」をリクエスト。ちょっとした伝達ミスで大きな鳥をかき始めたが、しっかりと軌道修正してその下に大きな鳥居もかいていく。
なるほど、日本をモチーフにした幻想的な世界を表現したいようだ。方向性が見えてきたところで、それぞれキツネやヒヨコ、ネコなど、思い思いにその世界の住人をかいていく。池には鯉に混ざって河童も登場。協力しながら色も塗っていく。鳥居の中央に掲げられた扁額には「学」の文字。中心には「君はまだはばたける‼」というメッセージも記された。しっかり部員募集のポスターの機能も担っている。
一方、4年生の男子チームは段ボールで何やら大きな武器を製作中。
この日はクリスマス間近だったため、部員の一人がピニャータ(お菓子の入ったくす玉のようなもの)をつくってきてくれた。これをたたくための道具をつくっていたはずが、大きくなりすぎて結局はバットで代用。はじけ飛ぶお菓子を拾い集める子どもたち。2021年最後の活動日もにぎやかに幕を閉じた。
いつもとは違う方法で
新年1回目のクラブ活動。これまでは、新しいテーマが始まるタイミングで説明会や体験入部の機会を設けることが多かったが、今年度は新たな部員が増えたこともあり、あえて追加募集のチラシは配布せず。そのままのメンバーで実施することになった(もちろん参加希望者がいた場合はいつでも入部可能)。
そのため、おなじみの「夢の学校くじ引き」ではなく、別の決め方がいいということで、6年生部員より本のジャンルから世界観を決めるアイディアが提案された。一人ひとりに尋ねながら、黒板に「ファンタジー」「SF」「ホラー」「異世界転生」「ショートショート」などのジャンルをリストアップしていく。意外といろいろな本を読んでいるんだなぁと感心。
年末の活動でつくったポスターも踏まえ、「和風ファンタジー」という世界観が選出された。いつもは「学校」のイメージを攪拌するために偶然性を取り入れた発想法を取り入れているのだが、全員が一度はその方法を経験しているので、たまにはテーマ先行型も面白い。せっかくなので、大きな紙にその世界を試しにかいてみようと投げかけてみた。
やはりポイントとなるのは大きな鳥居。これが境界となって、その向こう側では世界が変わるという仕組みだ。模造紙を2枚つなげて道を伸ばし、不思議なまちをかき足していく。茶屋や長屋、巻物屋、勾玉屋、武器屋などが並ぶ。よく見れば、かぐや姫や一寸法師、分福茶釜など昔話の登場人物も。
決して筆者が誘導したわけではないが、結果的に次回の「もうひとつの学校」のタイトルは「妖界~あやかしの世界へようこそ~」に決まった 。[i]。ここから、それぞれの興味のある要素を抽出しながら企画を立てていく。今後の展開からも目が離せない。
[i] 今さらながら、筆者は美術教育の研究と並行して妖怪研究をライフワークとしている。この「図工のあるまち」でも「妖怪採集」のコーナーを掲載中(こちらから)。プロジェクトの実施にあたっては、あまり妖怪色が出ないように抑えてきたつもりだが、最近では子どもたちにも「妖怪を研究してるって本当ですか」と正体がバレつつある。ここから、それぞれの興味のある要素を抽出しながら企画を立てていく。今後の展開からも目が離せない。
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