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第四三回 放課後の学校クラブ 第17回 2023年をふりかえる

2023年8月に6年生部員が金ケ崎に修学旅行に赴いてから、しばらく「放課後の学校クラブ」のレポートをしていなかったので、ここで昨年の後半の活動をまとめてふりかえっておきたい。

 

 

親子で遊ぼう・作ろう

 

 活動場所となる浜田小学校では、PTAの主催のもと毎年1回「親子で遊ぼう・作ろう」という行事が行われている。コロナ禍でしばらく開催できていなかったが、今年は4年ぶりの実施が決定。「放課後の学校クラブ」も参加団体に加えていただき、2回ほど実行委員会にも出席した。

 そこでは、基本的に「大人(主に保護者)」がプログラムを用意し、児童は参加者としてそれらを巡る。しかし、「放課後の学校クラブ」の場合、企画を立てるのは子どもたち自身。委員会でも、筆者の役割は部員のアイディアを代弁することにある。

 この会議に向けて、実は7月から企画を練ってきた。「イベントのタイトルは何にしよう」「内容が分かりやすい方がいいよね」「かえるとかっぱと友達のチョー学校でいいんじゃない」「それじゃない方がいい」……議論を重ねた結果「カエルとカッパのワケあり学校」が選出された。

 ちなみに、「カエル」は子どもたちが通う浜田小学校のシンボルだ。かつて、田んぼだった場所を開拓して学校を建てたため、カエルへの感謝の気持ちを忘れないように、という想いが込められている。発案者によれば、「カエルもカッパも今の浜田にはいないけど、放課後の学校では訳あってあらわれる」というコンセプトらしい。

 


 

 

カエルとカッパのワケあり学校

 

 本番の9月9日に向けて、大学生にも協力してもらいながら、カエルとカッパのオブジェも製作して準備万端。ところが、開催を約1週間後に控えた頃、体調を崩す児童が増えてきたことから、行事そのものが中止という決断に。もちろん、安全が最優先されるべきことは言うまでもないが、部員にとっては残念な結果となってしまった。

 しかし、せっかくみんなで準備をしてきたから、ということで、日を改めて開催することに。新たなスケジュールは、この地域で秋祭りが行われる10月15日に照準を合わせて。日程が決まれば、広報活動としてポスターやチラシを製作。さりげなくお祭りの休憩スペースとして利用できることもアピールしていた。

9月24日の板書
9月24日の板書
9月24日の準備の様子
9月24日の準備の様子

 ようやく迎えた祭りの日。午前中から集まって会場を設える。「親子で遊ぼう・作ろう」に向けて、いつもより少し豪華につくられた看板も、みんなで協力しながら教室の前方にぶらさげる。昇降口から会場までは、道しるべのためにカエルとカッパの足跡が点々と。


 午後2時。いよいよ開校。例のごとくゆっくりスタートではあったが、10分ほど過ぎた頃、待望の入学希望者が会場へ。今回は、牛乳パックでランタンをつくる「授業」がメインのプログラムとなっている。牛乳パックの表面をはがすと光を透過する仕組みを活かした工作だ。あらかじめ、部員がベースとなる材料を用意しておき、参加者はその上に絵をかいていく。段取りもばっちり。

 先ほどの入学希望者は「放課後の学校クラブ」には初めての参加。部員に教わりながら、大学生と一緒に時間をかけてオリジナルのランタンをつくっていく。はからずも、日程が10月に延期したことにより、ハロウィーンにもぴったりの活動となっていた。おなじみのカボチャも登場。

カエルとカッパのワケあり学校の様子
カエルとカッパのワケあり学校の様子

 完成したランタンは、中にLEDを仕込んで廊下に並べていく。電気を消して暗くなった空間に輝くランタン。思った以上に光を透過しており、身近な材料がまた違った一面を見せる。ちょっと不気味な足跡を辿った先に見える幻想的な暗がり。カエルとカッパがあらわれるワケがなんとなく分かった気がする。

 

 

クリスマスの準備

 

 11月5日の活動では、「カエルとカッパのワケあり学校」をふりかえりながら、今後の予定を話し合う。クリスマス、大そうじ、発表会など、年度内に何をしよう。特に、6年生部員にとっては、小学校卒業間近ということもあり、いずれにせよ区切りの時期となりそうだ。

 その上で、ひとまず間近に迫ったクリスマスの計画を練っていく。ここ数年、「放課後の学校クラブ」では12月に「クリスマス会」を開催することが恒例になってきた。とは言え、これも大人側から提案して用意するものではない。何をするかの話し合いは子どもたちに任せて、まずはその様子を見守る。

すると、プレゼントこうかん、くす玉、サッカー、バスケ、ドッヂボールなどのアイディアが出された。何も言わずに見ていると、どうやら多数決をとるようだ。結果は、サッカー(4名)、バスケ(3名)とのこと。

 これは、「クリスマス会ではなく、ただ単にやりたいことでは?」と思いつつ、ついつい「クリスマス会って何だろう?」と声を掛けてしまった。「放課後の学校クラブのクリスマス会」とは何ぞや、という難しいお題に議論は堂々巡り。結論の出ない話し合いは1時間ほど続いた。

 最終的には「みんなで楽しめるようにする」というコンセプトが固まり、それぞれがやりたいことに分かれて企画案を立てていくことになった。また、せっかくなので誰かを呼びたい、という話になり、大学生に向けて招待状も作成。ゲストとしておもてなしするのかと思いきや、ちゃっかり「うまい棒」も要求していた。

 

クリスマス会に向けて悩みのあとが残る黒板
クリスマス会に向けて悩みのあとが残る黒板

 

 

波乱のクリスマス⁉

 

12月23日。あっという間に季節は廻り、2023年も残すところあとわずか。何だかんだありつつ「クリスマス会」の当日を迎えた。招待状を受け取った大学生3名も「うまい棒」を持参の上、遠路はるばる群馬からご参集。6年生部員にとっては、夏休みに「小学生ウィーク」でお世話になったお兄さんやお姉さんと久々の再開だ。

 この日は年内最後の活動日ということで、クリスマス会に先立って1年間のふりかえり。年始の活動で作成した年間計画を見返しながら、できたこととできなかったことをチェックしていく。「7月には発表会はできなかった」「オリジナルグッズはつくれなかった」「11月ではなかったけど10月には発表会ができた」など、客観的に分析していた。


 さらに、今後の反省点へと話題が展開する。「できなかったこと(×)が多かったのは、進みがおそかったから」「やっぱり本番に来てくれる人が少なかった」といった声が挙がる。と、まじめに話し合いをしているとなりで、低学年の部員は黒板に落書き中。「これが進みがおそい原因じゃない」と核心を突くコメント。

 そもそも「放課後の学校クラブ」は、放課後のできごとであるため、子どもたちをルールで縛ることはしない。そこでは、「指導」することよりも「待つ」ことを重視してきた。とは言え、「今やっているその行為は、果たして本当にやりたいことなのか」と問いかけることはある。今どうしても黒板に落書きしたいのであれば、それを止めることはしない。その一方で、「やっぱり何か決まりがあった方がいいのかも」という意見も重要。新年の活動は、改めて「校則」を考えることから始まるのかもしれない。

黒板にらくがき中の様子
黒板にらくがき中の様子

 と、この日もいろいろと話をしていたら、クリスマス会に残された時間はあと1時間ほど。みんなで急いで校庭に出てオリジナルルールのサッカーを楽しんだり、ダンボール製のゴールを使ったバスケットボールで盛り上がったり……さらに、いろいろな大人たちに要求した結果、約200本の「うまい棒」が大集合。カエルとカッパが姿を変えたクリスマスツリーにも「うまい棒」の装飾が。最後は、低学年部員の発案のもと、くじびきで引いた番号の味をもらえるイベントを開催。

とは言え、まだまだ在庫はたっぷり。活動を見守ってくださる方々のクリスマスプレゼントのおかげで、しばらくお菓子には困らなさそうである。

 


 

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