図工準備室の完成に向けて
今回は岩手県の金ケ崎芸術大学校から「ずこうの時間」のその後をレポートする。
本連載の1回目と2回目で取り上げたこのプロジェクトは、かつて納戸として使われていた一室を「図工室(仮)」として改修することを目指したものである。これまでに取り組んできた様々な「開校日」を念頭に、水道や床下収納などの必要な要素をリストアップしていった。
それらのアイディアを踏まえて、地元の業者によって大規模な改修が行われた。まずは傷んでいた床をはがすところから始まる。この物件は文化財でもあるため、部材を補いながら丁寧に組み立てられていく。床下の大引(おおびき)と根太(ねだ)の間に収納スペースも完備。壁面もはがして断熱材を入れた上で、釘打ちできる仕様に。
記録的な大雪によって水道工事が難航するも、雪解けとともに3月には無事に完了した。
図工のできる家
最終的には、部屋の名称を「図工準備室」にすることにした。ひとまず、スチールラックやツールボックスを置いて、これまで雑多に置かれていた道具や材料を整理してみる。
これだけでも何かをつくりたくなる雰囲気が醸し出される。制作した作品を一時的に保管したり、ちょっとした作業をしたり、壁に展示棚を設えたり、用途は人それぞれ。これからどのように使われていくかが楽しみである。
また、今回の改修では水回りの環境も整えられた。「藍の時間」の講師から長らく要望のあった屋外水道もようやく設置することができた。これで畑仕事や染色の作業もぐんとはかどる。今年も藍の種を蒔いて準備万端だ。普通の民家から少しずつ図工のできる家に進化しつつある。
新たなスタートに向けて
せっかくリニューアルをしたので、5月4日にはご近所さんを対象にひっそりとおひろめ会を行った。この家にはかつてお茶の先生が住んでいたこともあり、数十年ぶりに足を踏み入れたという方から当時のお話を伺うこともできた。諸々の状況が収まったら、ぜひお茶会も開いてみたいものである。
当日は今年度の事業計画もお披露目。新たな試みとして、これまでの「開校日」を発展させて学科を開設することにした。
初年度は、藍を育てながら染色に取り組む「染めっ科」、漆器制作や金継ぎに取り組む「かぶれっ科」、模型づくりに取り組む「つくろっ科」、そして筆者担当の妖怪採集に取り組む「化けっ科」である。
これらは単発のワークショップとしてではなく、数か月にわたって活動が継続される。受講者同士の間で新たなコミュニティが育まれていくことにも期待したい。
今年度の事業案内
〇染めっ科「藍の時間」
日時:6/20、7/18、8/22、9/12、10/3
各日9:00~12:00
受講料:3,500円(全5回、材料費込み)
定員:15名
〇かぶれっ科「漆の時間」
日時:6/5、7/17、8/21、9/4
各日14:00~17:00
受講料:5,000円(全4回、材料費込み)
定員:5名
〇つくろっ科「模型の時間」
日時:6/6、6/20、7/18、8/22、9/5、10/3
各日13:30~16:30
受講料:3,980円(全6回、材料費込み)
定員:10名
〇化けっ科「妖怪採集の時間」
日時:6/19、7/3、7/24、8/7
各日14:30~17:00
受講料:1,500円(全4回、茶菓代込み)
定員:10名
参加を希望される場合は以下の連絡先までご連絡ください。新型コロナウイルスで行動も制限されておりますが、早くより多くの皆様にお披露目できる日がくることを願います。
℡:080-7225-1926(担当:市川)
メール:kanegasakiartcollege@gmail.com
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